君は、そして僕は

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気まずい。 聞き出しづらい。 いや、だってさ。 こんなの今更じゃないか。 本当に今更。 『俺のこと好き?』 だなんて。 「なぁ」 「うわああああ!!!!負けるー!!!HPがああああ!!!」 「おい」 「ちょ待って今やばいんだってまじで!」 「……」 今日もこいつの家でゲーム。 つっても、俺はゲームしてるのを見てるだけなんだけど。 一緒にやろうぜとか何度も言われたけど断っている。 苦手なんだよゲームは。 最近は学校帰りにこいつの家に寄って、ゲームしてんのを見て、だらだらして帰る。 この繰り返し。 あれ、俺達付き合ってるんだよな? たまにこんなことを思う。 イチャイチャしたいとかそういうんじゃないけど、なんかもっと…こう、さ。 付き合う前と全く変わらないもんだから、なんか。 キスだってまだ2回。 3ヶ月経ってまだ2回だぜ。 うわぁお。 「負けた…くそ…このボス強すぎなんだよ…っ!」 あ、ロードしやがった。 またゲームかよ。 ……………帰るか。 俺はだんだんイライラしてきて、帰ることにした。 バッグを持って立ち上がると、ゲーム馬鹿野郎は気づいたのか、一旦ゲームを停止して俺の方を見た。 「あれ、帰んの?もっとゆっくりしてけば「帰る」 「何そのピリピリモード」 「お前はずっとゲームしてればいいだろ。ゲームを嫁として貰えばどうよ」 あ、やばい。 勢いで変なことを口走ってしまってしまった。 俺の馬鹿。 俺は顔を引きつらせ、顔をふいと背けた。 そのまま部屋を出ようとすると、ガッと腕を掴まれた。 思わず振り向くと、真剣な表情をした奴の顔があった。 「俺が嫁に貰いたいのはお前なんだけど」 「は?」 俺がポカンとしながら言うと、奴は数秒後に顔を真っ赤にさせた。 「おまっ…変なことを言わすなよ!あー顔あっちー!」 俺の腕を離し、両手で顔を仰ぐ姿に、俺は可笑しくなって思わず笑った。 更に顔が赤くなって、今度は大笑いした。 そして俺は、ずっと聞きたかったことを聞いた。 「なぁ、俺のこと好きかよ?」 すると微笑んで奴は、 「好きだよ、バーカ」 待ち望んでいた言葉。 あぁ、もう、嬉しい。 俺も好きだよバーカ。 お前の何倍もな。 *end
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