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「夜明けの姫…
あの大昔の予言の時が迫っているというのか?」
占婆の言葉は、到底信じられないものだった。
大昔の予言とはいえ、この世界をたった一人の小娘に脅かされるなど…
『左様。
もうこの世界に足を踏み入れておる。
左胸に幻の花を携え…』
どのような娘なのか
どこから来るのかすら解らない。
だが脅威を持って来るという正体不明な存在に、少々恐怖を感じた。
いや…
娘よりも、その脅威に…
「たかが女。
我が輩が殺めればこの世界も救われよう。利用できるものならば利用するまで」
黒い衣を纏いその漆黒の瞳に危険な光を宿らせて、兄は嘲笑った。
この人はなにを考えているのか解らない。
恐ろしい男だ。
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