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『ならぬ』
婆は呻くように言った。
『脅威であるが故に
ソ
其の名と同じに世界の夜明けとなる存在。
決して殺めてはならぬ。予言を侵してはならん』
血に飢えた兄は歯を食いしばったようだが
無表情に占婆を見下ろした。
脅威と共に夜明け…
その存在について考えようとしたが、
ふいに襲ってきた眠気に妨げられた。
幼い頃からそうだ。
いきなり眠気が来ては
少女の目線の夢を見る。
ある時は予言
ある時は遊び相手
ある時は母親のように叱ってくれる少女。
わたしは少女自身なので、向き合って話したりはしないが、
その少女の気持ちや感情が
わたしを大きくしてきた。
最近分かったのだが、彼女はわたしよりも3つ下で、今月を見る度に苦しんでいる。
彼女が本当に存在するのなら、助けてあげたい。
今宵も夢をみる
そんなわたしに一部の召使いがつけた名は
「夢見の皇子」
わたしも占術の心得があるものだと周りは勘違いしているが……
………
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