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「…何だって?」
低くなった声に、僕はビクリとなった。
「何故君がそれを知ってる?」
「へ?い、いや、それはその…」
しまった!
あの時覗き見しちゃったけど、どうやら見てはいけない類いのものだったらしい。
「じゃあ僕はこれでっ!正義の戦士お疲れ様です!」
早口に捲し立て、僕は急いで相手に背を向けて走り出す。
「あっ、君!!」
背後で隊員の声がしたが、どうやら追って来る気配は無く、僕はそれに感謝しながら無我夢中で自宅に向かって走り続けた。
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思い出して、僕は憂鬱気味にオレンジジュースでトーストを無理矢理流しこんだ。
殆ど味の分からないまま朝食を終え、僕は珍しく一般的な登校時間に家を出た。
何だか家にいると延々と昨日の事を考えてしまいそうだったから。
他の生徒がまばらに歩いている中で登校するのは久しぶりだった。
相変わらず風景に溶け込むが如くな存在感の僕である。
何人かが僕にぶつかり、誰もが驚いた顔で振り返った。
しかし謝るでも無く、眠そうな顔で向き直って歩いて行く。
別にそれでいい。
面識の無い相手との社交的やり取りは疲れる。
僕はふうと息を一つ吐き、のろのろと学校へ向かった。
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