組織

3/16
前へ
/81ページ
次へ
「…何だって?」 低くなった声に、僕はビクリとなった。 「何故君がそれを知ってる?」 「へ?い、いや、それはその…」 しまった! あの時覗き見しちゃったけど、どうやら見てはいけない類いのものだったらしい。 「じゃあ僕はこれでっ!正義の戦士お疲れ様です!」 早口に捲し立て、僕は急いで相手に背を向けて走り出す。 「あっ、君!!」 背後で隊員の声がしたが、どうやら追って来る気配は無く、僕はそれに感謝しながら無我夢中で自宅に向かって走り続けた。 --------------------------- 思い出して、僕は憂鬱気味にオレンジジュースでトーストを無理矢理流しこんだ。 殆ど味の分からないまま朝食を終え、僕は珍しく一般的な登校時間に家を出た。 何だか家にいると延々と昨日の事を考えてしまいそうだったから。 他の生徒がまばらに歩いている中で登校するのは久しぶりだった。 相変わらず風景に溶け込むが如くな存在感の僕である。 何人かが僕にぶつかり、誰もが驚いた顔で振り返った。 しかし謝るでも無く、眠そうな顔で向き直って歩いて行く。 別にそれでいい。 面識の無い相手との社交的やり取りは疲れる。 僕はふうと息を一つ吐き、のろのろと学校へ向かった。
/81ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加