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「彼らには特殊能力というか、才能だな。それぞれ違ったものを持っている。全て私がこの目で見て、スカウトして来た」
「僕にはありませんよ、そんなもの」
「あるじゃないか。存在希薄という立派な才能が」
冗談かと思って軽く相手を睨むと、岸社長は相変わらずの真面目な雰囲気を崩す事無くこちらを見ている。
「言っただろう?君の才能を買いたいと」
「買う…?」
お金でも払ってくれるって言うのか。
「その通りだ」
岸社長は怖い物など何も無いと言わんばかりの笑みを浮かべ意外にゴツい指を僕に向かって突きつけた。
「ただしキャッシュでは無く、『権限』で支払う契約になっている」
「?」
「隊員には呼び出し時、正義の戦士となって貰う代わり、普段の生活で自らに害を為すものが現れた場合、ほぼ全ての権限を執行する権利が与えられる」
「ほぼ全ての権限て…?」
半信半疑で聞いて見ると、岸社長は平然ととんでもない事を言い放った。
「殺人以外なら、何をやっても罪に問われない」
罪に問われない?
「揉み消すという事だ」
「!!」
「望めば、自衛隊位なら出動させられるぞ」
「そんなの、流石に国が許すもんか!」
「許されるからこそ、やっている」
馬鹿な、この人何を言ってるんだ。
それではまるで。
「この国は私の買い物の一つに過ぎない」
「…どうかしてる」
趣味の為に、日本を買ったのか。
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