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ここに来る前に社長に手渡されたカードの裏に、こう書いてあった。
◆呼び出しは何時如何なる時も最優先事項である
◆呼び出し時、各自正義の戦士の自覚を忘れる事なかれ
◆磁気に近付けたりしない様にして下さい
…努力するしか無いな。
「それさえ守れば、君も今日から立派な戦士の一員だ。バイトの。」
岸社長は満足そうに微笑むと、ネクタイについていたピンを外し、僕に手渡した。
「これは?」
金色のシンプルなデザインのタイピンを眺め、僕は首をかしげた。
「前払いだ」
「え?」
「君の望みを叶える道具、レゾンデートルという名の機械だ」
僕の望み、それは
「人並みの存在感…」
社長は言った。
僕が望めば、望んだ相手、範囲に存在感を伝えられるのだと。
また、逆に望んだ相手、範囲に存在感を遮断する事も出来る、と。
僕が望むタイミングなんてどうやって知るのだと問えば
「脳波―微弱な電気信号を察知してその機械は効果を発揮する」
その効果もつまりは電気信号で、対象の脳に働きかけ、人の認識をずらしたり集めたり出来るらしい。
とても単純な原理だと言ってのけた社長に、僅かながら尊敬の念を抱いてしまったのは内緒である。
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