24人が本棚に入れています
本棚に追加
「ところで数学の宿題写させて、シンちゃん」
邪悪なるイケメンが何かほざいているが、僕はそんな犯罪には荷担してやらない。
人を無視しておきながらなんたるムシの良さだろうか。
なんちゃって。
「拗ねてんの?悪かったって、な?頼むよ」
「……;」
困った様に(勿論困ってなどいない!)眉を下げて物憂げに笑いかけてくる相手に、僕は悔しさいっぱいに数学のノートを押し付けた。
「やり♪」
無邪気に笑いノートを広げるそいつを見て、今日もまたしてやられたと僕は落胆した。
奴のイケメンスマイルは今まで数多くの犠牲者を出して来た。
だからって何故僕が陥落するのかというと、僕は、昔から笑顔というものに極端に弱いのである。
それに『お願い』とか付いたら、火中の栗位なら拾ってやれる自信がある。
こいつには更にビューティー補整がかかるので余計に断れない。
だがこいつはそれを知っててやるから、僕はキッパリ断るべきなのだけれど。
「いいじゃん、またヤキソバパンおごってやるからさ」
…世の中持ちつ持たれつだ。うん。
最初のコメントを投稿しよう!