邂逅

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鞄を無気力に掴み、各々に教室を出ていくクラスメート達に紛れ、誰にも挨拶する事無く僕は教室を後にした。 今日の会話らしい会話は日野と交わしたいくつかと、名前うろ覚えなクラスメートに鞄置きたいって言った位だったな。 我ながら、ちょっと暗いなと思う。 しかし、人と向かい合うその度に、いたのかと言われ続ける日々というのは、予想以上にしんどいものだ。 必要な会話以外、するのが億劫だと思っても可笑しくは無いと思う。 これが僕の日常だ。 目立たず、関わらず、それでいい。 今までも、これからも。 鞄を肩に担ぎ直し、のんびり帰路につく。 雲一つ無い青空を、ヘリコプターが旋回している。 ああ、一日がまたゆっくり過ぎて行く― 「旋回?」 はたとなり、慌てて上空を見上げる。 真っ黒なヘリコプターが、かなり低空位置を飛んでいる。 このままだと普通にその辺に停まりそうな勢いだ。 「危ないじゃないか!」 周りに発生する強風から逃げる為に、僕は腕で顔を庇いながら何とかヘリコプターから距離をとった。 やがてヘリコプターは近くの空き地に着陸すると、五月蝿かったプロペラの回転をゆっくりと止めていった。 (迷惑な奴がいるもんだな…)
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