電車道

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新しいクライアントへの提案書 が仕上がって時計を見ると、も う5時を回っていた。 「2時間かかったか…」 俺はそう呟いて、PCの電源を 落として立ち上がった。 「終わったか?」 その時、向かいのデスクの蒲田 先輩が声をかけてきた。 「えぇ、何とか出来上がりまし た」 蒲田先輩は、仕事には厳しいが 気のいい人で、どういう訳か俺 を気に入ってくれていた。 困った事や悩み事があって相談 すると、親身に話を聞いてくれ て俺は何かとお世話になってい た。 「そうか。ちょっと付き合えへ んか?何か用事あるか?」 「いえ、別に何も…」 「じゃ飲みに行こう。俺が奢る わ」 蒲田先輩は、心なしか元気がな さそうだった。 二人は会社を出て、よく行く近 くの居酒屋に入った。 「何でも好きなもん頼んでええ ぞ」 「あざーっす」 俺はそう言いながらメニューを 見ていた。 蒲田先輩はやって来た店員に 「生中二つな」 と言ってから、いくつか料理を 注文した。
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