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「うん、有給を取って宮崎まで
行ってきたんやけどな。心臓麻
痺でぽっくりと亡くなったらし
い。参ったよ、まだ45才なのに
なぁ。俺、その2・3日前にあ
いつが出張でこっちに来た時に
会うてるんやで?ぴんぴんしと
ったのに」
先輩はそれから親友の事をぽつ
りぽつり話し出した。
「俺とあいつは高校の時に出会
ってなぁ。大学も一緒やった。
7年間殆ど一緒にいたなぁ。
彼女が出来た時も、私と友達と
どっちが大事なん?て言われた
わ」
俺は相槌をうちながら先輩の話
を聞いていた。
先輩の親友への思いが伝わって
きて羨ましかった。
俺にはここまで思えるような親
友はいなかった。
例えどんなに仲良くなった友人
でも、心の底では信用していな
かった。
ひとしきり親友の話をした後で
、先輩は急に黙った。
俺は、なまじの慰めなど陳腐に
思えて言葉を探しあぐねていた
。
「あいつはズルいんだよっ。先
に逝きやがって」
突然、先輩が叫ぶ様に言った。
既に生中を2杯飲んで、今は芋
焼酎のお湯割に梅干しを入れた
物を飲んでいた先輩だったが、
少しも酔ってはいなかった。
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