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「いるかな?」
一番大きな十字路を越え空き地の中央にぽつんとたつ木が私達の集合場所だ。
息切れしながらもようやく空き地に着く。
そして[彼]はいた。
「お、おはよぅ~・・・」
「おう。おはよう。じゃあさっさと行くか。」
「ええっ!!ちょっと待ってよ!」
築地はそんなことも構わずつかつかと歩いていく。
「もう・・・」
優香はその場に座り込んでしまった。
「ハァ。しょうがねぇな」
先に行ったとおもっていた築地が目の前にいて、
手を差しのべる。
「ほら、いくぜ。」
きのせいか築地は優香に顔を見られないようにしているようにみえた。
「うん!」
その手を握った瞬間、
「・・・・・・・あれ?」
ベットの上だった。一階からお母さんの声が聞こえてくる。
「早く学校行かないと遅れるわよ?」
「・・・・・」
とりあえず言いたいことが一つあった。
「夢か―――――――い!!!」
ハンガーに掛けてある制服を取り、支度をすませると、ドタドタと階段を駆け降りる。
「優香?朝ごはんは?」
「大丈夫!行ってきます!」
もう朝ごはんを食べていたら確実に遅れるので、カバンを掴み、靴を素早く履き、外に出る。
十字路を越え空き地についたがさすがに築地はいなかった。
「まぁ、海君はあんな事してくれないだろうな~。」
小走りのペースを保ちながらそんな事を考える。
SHRまであと5分しかない。
唯一幸運だったのは、高校が近くにあったことだ。
「もう少し・・・」
今、登校している生徒はほとんどおらず、校門には、生活指導の先生が立っている。
だが、どうにかチャイムまでには間に合うことができた。
これまで遅刻しかけたのは何度もあるが、遅刻したことはないのだ。
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