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息を切らしながら、自分の教室、一年一組に入った。
「ま、間に合った~。」
「お~お疲れさん。優香。」
「ひどいよ~。置いてきぼりなんて!」
「俺はギリギリまで待ったぞ?そしたらよぉ・・・」
すると、いつの間にかに築地の隣には、円谷がいた。
「よっ!同じクラスだな!よろしくぅぅぅぅ!!」
「なぁ。そろそろ殴ってもいいか?おい。」
すると、円谷は自分の顔を手で覆い隠すようにして
「焦るなよ・・・今日は始まったばかりだふぇ!」
築地の拳が円谷のみぞおちを捕える。
「ちょいと黙れ。お前は(著作権的に)危ないからやめろ。」
「・・・だが断わ・・・る」
どうやら力尽きたようだ。
これは3人の日常である。中学が同じだった人は「またやってんのか。」やら「あきないね。」とか、既に見慣れた日常の一つなのだ。逆に他校からきた生徒は「大丈夫なの?あの子。白目剥いてるけど?」など話していた。
その時チャイムが鳴り、担任が入ってくる。
「なんだか、騒がしかったようだけど、まぁいいか。はい。席ついて!」
手パンパンと叩き、着席させる。
「今日からこのクラスの担任の松城 武文です。担当は科学です。」
松城は自分の名前を黒板に書くと、生徒を一見する。
「じゃあ、出席番号が早い人から自己紹介してもらおうかな?えっと、天草 冬影君。お願いします。」
小学でも中学でもやった自己紹介などほとんど聞くものはおらず、窓の外を眺めてる奴もいれば、机にいきなり突っ伏しているやつもいる。
築地もその内の一人だったのだが、ゆっくり立ち上がった彼のその自己紹介に驚愕した。
「天草 冬影です。俺には一切干渉しないでください。誰とも関わりたくありません。同情もいりません。それだけです。」
それだけ言うと何事もなかったように席に座る。
クラスが静まり返り、皆口を揃えてぽかーんとしている。
外から小鳥達のさえずりが聞こえてくる。
これが、天草 冬影との出会いであり、これが築地達の運命を著しく変えたことは誰も知る由もなかった。
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