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「俺……女嫌いなんだ。」
うつむきながら言った兄貴は15年間見たことがなかったぐらい弱そうだった。
「そんなに嫌いってわけじゃなくて女との接し方って言うか……わかんなくて。」
僕は口をあんぐりと開けて一生懸命説明している兄貴を見ていた。
「…………兄貴。」
兄貴はゴクリと唾を飲み込む。
「女嫌いなの初めて聞いた。よくわかった、でも彼女にはなれない。」
告白を断る理由を作りたかったわけか。
僕は深いため息をついた。
「兄貴、もう大人なんだから頑張ろ。」
殺風景の部屋で
10センチ背が違う二人が
静かに立っている。
僕は拳を握る。
「ごめんなさい。」
そう言って僕は
荷物の整理を始めた。
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