42人が本棚に入れています
本棚に追加
/53ページ
そのような会話をしていると、クラス中央に教師が現れた。名前はチャン・チュウ。東洋系の名前にふさわしく、艶やかな長い黒髪をもつ美人である。
専門は基礎魔術で、いわゆる四大元素を操る術式を得意とする。
「みんな揃ったようね。では、ホームルームを開始する」
凛とした声と、他者に有無を言わせぬ強さを持った風格がチャンの独特の雰囲気を漂わせている。
いつものように、一日の連絡がチャンの口からのべられる。この辺は日本の学校となんら変わらないかもしれない。
「以上。では、授業の準備をしておくこと」
本来ならば、これで終わりなはずだった。しかし…………
「想太。話がある。私についてきなさい。それとエミリアも」
唐突にチャンが言った。互いに目配せする想太とエミリア。
――――仕事か。
ふたりはうなずくと、チャンに従い着いていった。
これが、いずれ学園全体を揺るがす事件の始まりだとは考えもしなかった。少なくとも、この時は。
最初のコメントを投稿しよう!