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ガシャーン!
超満員の場内。
汗でベタベタする体育館の上、10人の選手が立っている。
そして今、会場のざわめきを一気に掻き消す程の破壊音が響いた。
壊れるのではないかと思う程強く叩きつけられたリング。
青年が片手を放すと同時にグラグラと揺れ始め、ミシミシと悲鳴を上げた。
シンとなった場内。
次に響いたのはブザー音だった。
電光掲示板には81と82が記されており、その上には学校名があった。
キュッと床を擦り、フローリングに着地した青年はそれを見て笑う訳でもなく、ただ無表情でいる。
一方で彼の仲間達も、彼が豪快な勝利点を上げたにも関わらず、喜ぶ者はいない。
そしてただ機械的に五人は整列し、礼をした。
観客は皆が皆立ち上がり、惜しみない拍手を送ったが、勝利した高校の生徒達は相変わらず冷ややかだった。
この時、青年は改めて決意した。
バスケは辞めよう、と。
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