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大きいヤツ
ハセジュンは悲鳴が聞こえた方に走った。
ハセジュンはわかっていた。戦いの場になんども飛び込み延々と星人達を戦ってきたが、大抵悲鳴が聞こえてからではもう手遅れだ。
それでもハセジュンはその思いを振り切って走った。
ハセジュンは通りに出た。一体の魚星人が泳いでいる。その周りにはいくつかの死体が転がっている。おそらく魚星人に殺されたのだろう。
「くッ…」
その中に見覚えのある制服の女子の死体が二つ。首から上がないため誰なのか判然としないが田高生、3-4の生徒の誰かに違いなかった。
ハセジュンはXショットガンを撃った。
キュウウウウウン…ギョーン
魚星人が破裂する。ハセジュンは二つの田高生の死体の方に歩いていく。
するとピポロンと音がする。ハセジュンは立ち止まって目を細めた。
「エリア外か…」
ハセジュンは事態を理解した。現地に転送された人は決まったエリアでしか戦うことが出来ない。その決められたエリアから出ると頭に仕込まれた爆弾が爆発する。
おそらくあの2人は魚星人に追いかけられて逃げているうちにエリア外にでてしまったのだろう…
ハセジュンは歯を食いしばりもと来た道を帰ろうとした。すると向こうにも田高生の死体が転がっている。これも女子の制服を着ている。
ハセジュンはそこに恐る恐る歩み寄った。見たくないという気持ちもあったがハセジュンは冷静に生徒の顔を見た。
「スギヤマ…」
スギヤマ ヒナが倒れている。地面と接している右手がおかしな方向を向いていた。何かの衝撃で折れたのだろうか…
「くそッ…」
ハセジュンは目を閉じた。ここにスギヤマの遺体があるということはエリア外で死んだ2人は恐らくスギモト ミナミとタナカ マミだろう…あの3人はいつも一緒にいた。
ハセジュンは普段学校で数学の授業を教えている時のことを思い出した。3人とも真面目で、しっかりと授業を受ける良い子達だった。
ハセジュンは目を静かに開けて屈み込んでスギヤマの遺体を持ち上げた。
そして道の端に静かに寝かしつける。
「スギヤマ…スギモト…タナカ…」
スギヤマの見開かれた目をハセジュンはそっと閉じた。目を閉じた顔はまるで寝ているかのようでハセジュンはますます苦しい気持ちになった。
「悪ぃ…わぃのせいだ…」
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