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スグルとユウはお互いのスーツを見て吹いた。
2人は商店街の隣にある雑木林の中にいた。
「ピチピチだなぁ」
ユウが言った。
「ユウ君なんかもっこりしてるよ」
スグルが自分の制服を拾い上げ袖を通した。
「それッて制服上に着ても大丈夫なの?」
ユウがスグルの方を見て言う。
「大丈夫だべ…ハセジュンも上に服着てたじゃん」
「あッ…そッか」
そう言ってユウも制服を拾い上げる。
スグルがケースに入っていた黒く細長いモニターを起動させる。
「わぃ達の近くには魚星人いねぇみたいだ…」
スグルがユウの方を向く。ユウは制服の一番上のボタンをしめ終わったあとだった。
「とりあえずジュンちゃん探すか…」
スグルがユウに言う。ジュンちゃんとはハセジュンのことだ。スグルはハセジュンと仲がよくハセジュンのことをそう呼んでいた。
ユウは露骨に嫌そうな顔をする。
「えぇー…わぃ魚星人に出くわしたくねえよ」
「ハセジュンこのスーツ着てれば大丈夫言ったっきゃな…チキンかおめぇは…」
スグルが笑う。
「いいよ俺チキンだから」
ユウもそう言いながらもスグルと共に歩き出す。
「いや…やっぱりガクちゃんとこ行くか…」スグルが雑木林を出たところで言う。ユウは自分より遥かに身長の高いスグルを見上げる。
「ンだな…てかガク大丈夫なのかよ…」
「左腕すっぱりだからな…」
スグルとユウは逃げてきた道を戻った。案外それほど逃げてきたわけではなかったらしく、ガクとシンがいる通りにはすぐに辿り着いた。
「おッ…馬鹿団長にボブ…」
ユウがガクとシンを見て言った。シンはこちらに気付いた。ボブは顔の黒いシン、馬鹿団長とはガクのことだ。ガクは田高の応援委員会の団長だからたまにそう言われる。
「ユウ君…スグル」
シンは歩み寄ってくるユウとスグルを見上げる。シンはまだ意識がしっかりしているが顔は相当血の気がなくなっていることがわかった。
「さっきハセジュン来たよ」
シンがハセジュンが走っていった方を向いた。ユウもそちらを見る。スグルはモニターを見る。
「多分この一番でっけえ点だべ」
「へばそっち行くか」
ユウが言った。
「だばユウ君とわいでシンとガクちゃんおぶっていくか」
スグルが寝かせてるガクを持ち上げる。
「うわ…軽ッ」
スグルが言った。元来スグルは巨漢なので腕っ節には自信があったがそれはそういう次元のものではない。これがスーツの力…
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