59人が本棚に入れています
本棚に追加
「うッは」
ユウも叫んだ。ユウもシンを軽そうに背負っている。
「スーツすげぇ…」
スグルがユウの方を向いて頷く。
「走ってみるか…ジュンちゃんめっちゃ早く走ってたし…」
スグルが背中のガクをしっかりとつかむ。
「おぅ。シンしっかり捕まってな」
ユウも構えた。
2人は同時に走り出した。ものすごい勢いで初速度がつく。
「!!!」
ユウとスグルは顔を見合わせる。ユウの後ろでシンがこれでもかとばかりに絶叫する。シンの顔がユウが走る度にぐらんぐらんと揺れる。
「ユウ君もっとゆッくりーッ!!!!!!」
「うるせえシン!!」
スグルが横から笑いながら言った。
スグルとユウはモニターにうつる大きな点目指して走りつづけた。道を曲がったり路地に入ったり。そのたびにシンの頭が横に吹っ飛びそうなくらい揺れる。
シンはぼそりと言った。
「てめえら無事に帰ったら覚えてろよ…ッ」それを聞いてユウがくすりと笑う。
ハセジュンは上を見上げた。息をゴクリと呑む。
「やりごたえありそうだな…」
ハセジュンの見上げる20メートル上、そこから相手はハセジュンを見下ろしていた。
巨大な魚。魚と言うよりうなぎと言った方が良いかもしれない。蛇のように鎌首をもたげこちらを見ている。うなぎのように長いが体の太さもかなりある。家一件なら軽々とおさまりそうな太さ。こんなに巨大な敵は久々にみる。ハセジュンの背筋を冷たいものがはしる。
ハセジュンはゆっくりとガンツソードを伸ばしていく。
グッグッグッグッグッ
ガンツソードも刃の部分が15メートル以上伸びている。
スグルとユウは息が止まるかと思った。ここにつく前も遠くの方から見えていたが流石にこんなものがこの世にいるとは…
スグルとユウもハセジュンと同じ場所に到着していた。
ハセジュンが刀を伸ばしているのが見える。巨大な魚星人は既にハセジュンに気付いている。
「無理だろアレ…」
シンの声が震えている。シンだけではない。ユウもスグルも震えている。
「ダメだジュンちゃん…」
スグルが言う。しかしハセジュンはこちらに背を向けていてスグル達に気付かない。
目が退化しなくなっている巨大魚星人が口を開けて吠える。
空気がビリビリと振動する。ユウはへなへなと地面に伏せてしまう。
ハセジュンが刀を振りかぶって思いっきり飛び上がった。
最初のコメントを投稿しよう!