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「後味悪いわこれ…」
トモヤが口を拭いながら言った。
「確かに…」
タツルも顔をしかめた。
ハセジュンが巨大魚星人と戦っている間、時を同じくトモヤとタツルも空を泳ぐ魚星人と戦っていたのだ。
スーツのパワーは凄まじく、突進してきた魚星人を受け止めて身体を引き裂くことなど2人には容易いことだった。
ただ容易さに比例して2人の罪の意識も高かった。こんなに巨大な生き物をこんな殺し方をするのは2人とも初めてだった。
トモヤが壁に寄りかかってモニターを見る。
「あ…光無え…」
タツルもモニターを確認する。自分達のところ以外に幾つか光があったはずだ。自分達が魚星人を倒してる間にハセジュンが全て倒したのだろうか…
「あ…ッ」
ガクの身体が消えていく。転送だ。
シンがハセジュンを見る。
「ハセジュン、転送始まったよ?」
ハセジュンはスグルの方に歩いていきながら話す。
「全部倒したからだべや、転送されるッてことはミッションクリアッて事。またあの部屋に転送されるして」
「なの…ならわい達」
シンはホッと一息つく。どうやら無事に帰れそうだ。ガクの身体が完全に消え続いてハセジュンの身体が消え始めた。ハセジュンはスグルの生死を判断する前に消えてしまった。
「ユウ君、スグルの方いこ」
「おう」
ユウがシンをおぶりなおしてスグルの方に歩いていく。
だがシンはユウの背中から落ちた。
「あいたァ…ッ」
ユウの身体は転送され消えていく。
シンは腹を抱えながらスグルが埋まっている場所に向かった。
「おいスグルッ…」
シンはスグルのもとに座りスグルを見下ろした。何も反応が無い。
「おいスグルッ」
シンはスグルにかかっている砂埃を払い顔を叩いた。だがスグルは動かない。
「…おい」
急にシンは恐怖にかられた。まさか…
次の瞬間、スグルが見えなくなり白い部屋が見えてきた。転送されてしまったのだ。
「うわ…ッ」
サトウ アスカが小さく叫んだ。一緒に逃げてきたキノシタ カオンの頭がだんだん消えていく。おそらくハセジュンが言っていた「転送」というものだろう。
「えぇー、次どうなんの?」
隣でシオリが言う。そう言っている間にカオンの身体は消えてしまった。
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