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シンは黒い球体から次のクラスメイトがでてくるのを待った。 しかし、一向にクラスメイトは出てこない。 「…」 シンがハセジュンを見る。 「ハセジュン…ヒナ達は…?」 ハセジュンがシンから目をそらしうつむく。 「え…」 シンは動揺する。何故ハセジュンは目をそらしたのだろうか…ハセジュンの沈黙がシンに重くのしかかる。 「キコは?」 ノゾミが言う。シンとハセジュンはその方向を見る。確かに、いつものグループの中にキコの姿がない。 「ハセジュン…説明しろよ」 シンがハセジュンを睨む。ハセジュンは下を向いたままだ。 「………死んだヤツは帰って来ない」 ハセジュンが自ら作った沈黙を破って言った。 ごく当然のことのように聞こえた。 しかしシンは愕然とした。ここにいない面々は皆死んだということか…? ノリヨシ、ヒナ、マミ、ミナミ、キコの5人がいない。シンは何度も見回したがその5人はどこにも見当たらなかった。 「…スギヤマとタナカとスギモトはエリア外に出て死んだ…死体を見たから確実だ…」 ハセジュンは下を向きながら話した。 「トビナイの死体はおめどもみたべ…カキモトはどうして死んだのかわからない…」 クラスメイトの顔が曇り始める。キコと仲の良いノゾミやミクが泣き始める。 シンも呆然としてしまう。ヒナ、マミ、ミナミとは1年の時から同じクラスでそれなりに仲が良かった。特にヒナとマミは席が近いのもあり休み時間はよく話していた。その2人がもう帰って来ない… シンは胸に包丁でもねじ込まれたような気がした。よく小説で胸に穴があいたようだという表現は恐らくこのことだろう。ただし、シンが感じた思いはそれより生々しかったが。 死んだクラスメイトの顔を思い浮かべるとシンも泣きそうになった。 「エリア外…」 シンははっとした。 「ハセジュン…エリア外ッて何だよ…」 シンはまたハセジュンを睨んだ。ハセジュンは顔を上げる。ハセジュンも目が潤んではいるがこらえて話した。 「ミッション中に決められたエリアより外に出ると頭が吹き飛ぶ…」 みんな頭を触る。シンもその1人だ。 「吹き飛ぶ…ッて…」 シンはハセジュンの胸ぐらを掴んだ。 「なんで言わなかった…言ったら生き残ってたかもしんねぇ…」 みんな驚いた。シンは先生に刃向かうような熱血キャラのポジションではない。そのシンが仲の良いとはいえハセジュンの胸ぐらを掴んでいる。
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