序章   【夢】

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血が…血が…                      溢れ出ている 止まらない                              目をそらすように、母親の顔に意識を戻す                       心配させまいとか、母親は自分に向かって微笑む                    耐えかねて、自分は泣きくじゃって枯れた声で叫んだ                  「母さん!!」                     勢い良くベットを起き上がる                             息切れしながら周りを見渡す               俺の部屋                        「…夢………」       流れ出ていた涙を拭う                  初めてじゃない 物心がついた頃からこの夢を毎日繰り返し見ていた                         それでも、毎日泣いて、毎日叫んで目覚めてしまう                   何の夢かも分からない 考えるだけムダ だから、考えないようにしている                      下から声が聞こえてくる                 「カイルー!朝ご飯だよー!」                            「今行くー!」                     こうして、一日が始まる                           continue
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