蝶夢

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森を西と東に分けるように一本道が通っている。その道の周りには色とりどりの花々が咲いていた 満月の綺麗な夜 そよ風の吹き抜ける森の道を走る二つの影 固く手を握り合い、何かから逃れるように道を走る 突然独りが立ち止まり、つられるように立ち止まる 静かな森に乱れた二人の息だけが木霊する 見つめ合う二人 先に立ち止まった方が微かに微笑んで唇に口付け、抱き締めた 突然強い風邪が吹いたかと思うと、先に立ち止まった方が身体を押して離れる 【ありがとう】 そう唇が動くとその身体が消え始め…手を伸ばしたがその手は空を切り、消えてしまった 背後から風が吹き、一匹の蝶が夜空へと飛び立っていった
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