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「なんじゃとう」オヤジは片方の眉を吊り上げて額にシワを刻んだ険しい顔で仁王立ちとなった。頬がぴくぴくと痙攣する。
これはマズい。オヤジの首を絞めた直後に図々し過ぎたか。そう思い、俺は大慌てで訂正した。
「いや、できればってことなんだ。できればって。そうして貰えたら、うれしいかな、なんて」
「ふんぬばら」と、オヤジは右腕を振りかざした。
「ひゃっ」俺は頭を抱え込んだ。ぶん殴られるのを覚悟した。
が、オヤジは俺とまるであさってな方向に体をひねり、指をパチンと弾く。「そこにいでよ、キッチン」
腕を伸ばした先にぼわんと白煙が立ち昇る。
「おおおっ」俺はぶったまげた。
なんとそこには周りと同化するような真っ白い長方形の建物が現れているではないか。これこそイメージ通りの魔法だ。
オヤジは俺に満面の笑みを向けた。
「腹がへっているならへっているで、なぜもっとはやく言わん。もう、いやねぇ」
なぜか少しオカマキャラになっている。これはたぶんギャグのつもりなのだろう。どっちみち気持ちの悪いことに、変わりはない。
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