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「なぜ俺を呼んだ。てめぇはいったい、何者だ。ここはどこだ」俺はぶっきら棒に言い放った。
心中、怒りがむらむらと込み上げてきた。こんなオヤジから偉そうに呼びつけられたくはない。
「ここか」オヤジは欠伸しながら生返事をした。「ここは死後の世界。つまり、あの世じゃ」
「ひぇぇぇ」もしやと、淡い希望を持ち始めていた矢先である。俺はその場に泣きくずれた。「やはり俺は、死んでしまったんだぁぁぁ」
「そうじゃそうじゃ。おぬしは死んでしまった」俺を指さして何度も大きく頷く。
つづいて「わははははっ」と、腹を抱えて大爆笑。
そこで俺は我に帰った。ひぃひぃ言いながら地面を転げ回っているオヤジに詰め寄る。
「なんで、てめぇにそんなことが分かる。ここがあの世だなんて証拠は何もないじゃないか」
オヤジは今だ笑いの発作が治まらないらしい。
「ああ、それはじゃな」ひく、ひくと間欠的にしゃくり上げている。「おぬしが発した残りの質問に答えれば明らかとなるぞ」
「どういうことだ」俺は、もはやこのオヤジをぶん殴ってやりたい衝動に駆られていた。「納得のいく答えが返ってこなかったら、承知しないぞ」
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