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事故ったあとに目覚めた場所も場所だ。最初に確信した通り俺は死んでいて、そしてここはあの世で、もしかしたらこのオヤジが神様かもしれない。
「証拠、じゃと」
「たとえば、うぅぅぅん、そうだなぁ」俺は顎に手をやって考えた。タネも仕掛けも出来ず、それでいて人間にはとても不可能なことを。
「空中浮遊なんて、どうだ」パッと頭に閃いた。「今すぐに俺の目の前でやってくれ。そうしたら信じる」
「なんじゃ。そんなことか。御安いご用よ」オヤジは首を左右に振ってぽきぽき鳴らし、両脇のバニーガールを払い退けた。「では、いくぞ」
体が、宙に浮く。
「おぉぉぉっ」俺はのけぞりながら嘆声を上げた。
オヤジはみるみる上昇していき、ついには地上二十メートルほどの位置へ到達。そこで座禅を組み、宙を右へ左へ滑らかに移動してみせる。
俺は、言葉もない。目が点だ。
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