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俺の予想通り目を見開いて凝視する勇者様。
だってさ、自分の目的とする敵が目の前にいるんだからな。
俺、ものスッゴく逃げ出したい♪
だが、肝心の勇者様はいきなり大きな声で笑い始めた。
「アハハハ! 君、面白いね! 次は私の番だね、私の名は『ラル=ブレイド』、一応勇者!」
高らかと有る胸を張って自信満々に宣言した勇者様。
何か思っていた勇者と全然違う。
で、魔王様と言うと、
「嘘では無い! じゃが……今は魔王の座を奪われているのじゃ……。本来ならここで貴様をと戦うべきなのじゃろうが……妾はもう魔王では無い……戦う理由がないのじゃ。」
「……本物?」
何かを求めて俺を見る勇者様。
ええ、本物です。
「私の最大の敵が…こんな幼い女の子とは…」
俺も同感です。
だって最初、この魔王様を見た時は何かの間違いだと思ったほど。
ふと、俺はある事に気付いた。
本当なら、俺達の上でバハムートが暴れている筈なのだが、その気配が全くしないのだ。
二人も気付いたようで、溝から這い出てみると。
「御主…何者じゃ?」
「あなたは何者だい……?」
二人がこちらを向き、驚愕の表情をしている。
なぜなら、当のバハムートは眉間に俺の技でつけたであろう傷があり、バハムートはその場で崩れ、物言わぬ肉塊となっていた。
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