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〔魔王・イリシア=アブイーター視点〕
フン……虫けら共がわんさかおるわ……。
こヤツらが妾達をここまで追い詰めたのは褒めてつかわそうぞ。
じゃが……それもここまで……。
妾が出てきたからには虫けら共に勝機など有りわせん。
「全軍突撃!」
「オォォ……!!」
フム、士気は申し分無い……。
さぁて……生き地獄というものを創ってみようかの?
そうして妾は意気揚々と声を張り上げる魔物の軍勢を敵である人間の居留地へと送り込んだ。
じゃが、
………………。
自分の中で暫時の間が流れた後、止め金が外れたように頭を掻きむしった。
ああ!! 堅っ苦しい喋り方はやっぱ無理!!
フォボスは魔王である限りこう喋れと言っていたが無理!!
「ムーちゃん!!準備はいい?」
「ギシャーン!!」
私が手塩をかけて育てた愛獣ムーちゃん(バハムート)も調子がいいみたい。
突撃~!
したはずだった。
何で?
何でこうなってるの?
「誰か~!!助けてー!!じぃ!!フォボス~!!」
途中までムーちゃんは何とも無かったのに急に暴れ始めた。
何で!?
糸が切れたみたいに暴れ始めたムーちゃんの先に、父上の代から四天王の者が笑ってこっちを見てるのが見えた…。
ああ……私は裏切られたのか。
その時、
「ライジング・エア!」
前方二時の方向から風を纏った雷がこちらに向けて放出された
もしや……、
何者かに攻撃された!?
凄まじい爆発と共に私はムーちゃんから投げ出され、そのまま重力に逆らうことなく落下する。
この高さから落ちたら……。
ホントに……誰も……助けてくれない……の?
そして、私は……走馬灯も見ることもなく目を閉じた……。
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