プロローグ:人生の終わりの始まり

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驚いて仰向けになり、上を見た。 そこには、横に倒れるバハムートと黒い影が一つ……。 というより影がだんだんと大きくなっていってないか!? これは……もしかしなくとも俺の上に落ちてきてるぅ!? ドスン 「グヘァ!!」 「キャア!!」 軽快な音(?)と共に俺の上に落ちてきた“何か” ピンク色の髪に、 俺より明らかに小さい体つき、 顔は可愛い……。 ん? この顔……どこかで? と、そんないきなりのことで覚醒しきれてない頭の片隅で一つの記憶を引きずり出した。 結果、 思い出した。 ああ、“魔王様”だ……。 先程までバハムートの上で助けを求めていた“魔王様” 「む…!ここは!?なぜ妾がこんなところに!」 魔王様はゆっくりと起き上がり、周りを見回している。 そして、未だになぜ自分が生きているというのが理解出来ないでいるようだ。 ええ、わかるとも! この後何が起きるなんて……っ! 『ぶ、無礼者!!生ける屍として妾の僕にしてやろうぞ!!』 ってことになって超魔術で俺が吹き飛ばされる光景が脳裏に流される。 ほうら直ぐそこに見知った顔がいる天国が見える……。 「む? 御主は……まさか……!」 言うなれば、 Go to heven !! 「御主が……助けてくれた…のか……?」 花畑がぁ、蝶々が……へ? 予想していた展開と大きく違うことに呆気に取られて思わず口をポカンと開ける俺。 「御主が……体を張って…助けてくれたの……か?」 魔王様は俺の顔をまじまじと見て、その紅い瞳が俺を見据えている。 ちょ、顔が近い! つーか……俺が助けた? 確かに魔王様は俺の上から『親方! 空から女の子がぁ!』っていう展開にはなったが……。 一応……そういう事に……。 「何か言ってはくれんか?」 目の前にいる魔王様はしかめっ面で口を尖らして愚痴るように呟いた。 まさか……まさかしなくても怒ってらっしゃる!? 「一応……そういうことになる……のか?」 これ以上魔王様を怒らせるわけにはいかないので、何か答えねばと思い、絞り出した答えだ。 後にエンディングで気付くことになる。 これが俺の人生の始まりで、魔王様の人生の終わりだったのかもしれない……。 「…妾の願いを聞いてはもらえんか…?」
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