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「ね、願い?」
俺はそう呟くと魔王様はなぜか緊張しているようで、深く腹に貯めるように深呼吸をした後に話し始めた……。
「妾と……妾の座を奪った魔王を倒して欲しいのじゃ……。」
「へ?」
きっと誰もが俺と同じ立場なら同じ事を言っただろう……。
「何で?」
「キャアアァ!!」
いきなり悲鳴が聞こえ、悲鳴が聞こえた方を見ると……、こちらに向かってくる影が一つ……。
あれ?デジャ──
「グホォォ!!」
「キャア!!」
ほ、本日……二度目……。
と、そんなことを心の中で呟きながら俺の上に落ちてきた何かを目を凝らして見てみる。
俺に当たった何かは、どうやら人らしい……。
「イタタ……ハッ!!」
どうやらこちらに気付いたようで、俺と目が合う。
落ちてきた人はと言うと、
年は18歳位の少女で、
髪の色は黒で髪型はポニーテールか……。
身長は俺程じゃないがそこそこはある。
てか、可愛いな……。
「だ、大丈夫!?」
どうやら、自分がどんな状況下にあるのか理解して顔を真っ赤にして飛び退く少女。
そんな少女に告げる。
「大丈夫と言えるのはあちらさんがいなくなってからだろう?」
俺は少女の向こう側を指さした。
そこには、もう俺なんて眼中にないほど怒り狂ったバハムートがいた。
「さっきまで戦っていたんだろう?“勇者様”?」
俺が勇者様と呼んだ少女はハッとして、少々訝しげな表情をしたが、自分の使命を思い出したのかバッと起き上がった。
「わかっているわよ!! ……ッ!?」
勇者様は立ち上がったと思ったら、足を押さえた。
見ると、右足首が赤く腫れぼったく染まっている。
どうやら挫いたらしい……。
仕方ねぇ……。
出来れば、これはなるべく使いたくなかったんだけどな。
「退いてろ……。」
そう言って俺は腰にさしてあった剣を構え、前に出た。
俺の目の前には怒り狂ったバハムートが死体共を蹴散らしながら向かってきてる。
正直ちびりそうw
大丈夫!
何千、何万回と練習したんだ!
逃げちゃダメだ……逃げちゃダメだ……逃げちゃダメだ!!
「うおぉぉぉおぉおお!!!」
「ギシャーン!!」
「轟けぇ!!―獅咆哮―!!」
俺はそう叫び剣を振るったとたんに轟音と共に目の前にいたバハムートが怯んだ。
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