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別に信心深い訳ではない。ただ何もやることがないだけだった。
辺りに気の利いた店があればそっちに行っていだが、生憎そういうものは全くないのだ。
鬱蒼と繁った木に囲まれた階段を上ると、古びた社のみがあるだけの小さな神社だった。
地面に敷き詰められた石の隙間から、雑草が生えている。社の状態もひどいものだった。
長年手入れされていない証拠だ。
梁瀬は鈴緒に手をかけた。やはりこれも状態が悪く、あちこちが解れてしまっている。
軽く鈴を鳴らそうと鈴緒を振った。
その時、不意にプツンという音がして、頭上にあった鈴が梁瀬めがけて落ちてきたのだ。
ごん、という鈍い音がして、何が起きたのかわからないまま気を失ってしまった。
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