VECTOR CROSS

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「は、はい! よ、よろしくです!」 イーサは訳も分からず頭を下げる。 バクは着ている長いコートに両手を突っ込むと無造作に机の上に足を乗せる。 「早速だがイーサ、お前に一つ聞きたい。 オレのこと、どこまで知ってる?」 戸惑いながらもイーサは人差し指を唇に当て、質問の答えを捻り出す。 「えっと、たしかこの国でもトップクラスの頭脳を持つ人だとか……そのぐらいですかね……」 イーサの返答はバクの思う核心には触れていないらしく、バクは残念そうにため息を漏らした。 「それだけ?」 「……すみません」 申し訳なさそうに謝るイーサを尻目にバクはポケットから手を出す。 そこには長めのチェーンのついた指輪が握られていた。 怪しげに輝く黒銀の光沢が周囲に異様な存在感を放つ。 「それは……?」
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