VECTOR CROSS

16/25
前へ
/220ページ
次へ
-数分後、イーサは会議室の隅で小さくなって落ち込んでいた。 あまりに重苦しい空気はバクに喋りかけることさえも渋らせる。 「えっと、何やってんだ、お前……?」 「……喋りかけないでください。イーサはもう人を信じたくありません……」 「ったく、わけわかんねェ奴……」 バクは机に置いてある地図を手にとると、イーサの前にしゃがみ込み、それを広げる。 「これ、なんだかわかるか?」 「地図ですか? でもこんなに全体が見渡せるのは初めて……」 「やっぱりそうか。じゃぁ、いつもはどこまでの描かれた地図を見てる?」 イーサは赤くぬられた方を指でなぞる。 「ここまでです。というかこの青いとこ、私の知ってる世界地図よりも全然大きいんですね……。 なんなんですか、コレ?」 困惑するイーサにバクは蔑むような不敵な笑みを向ける。 「連合軍3、政府軍7……。 それがこの国が何十年も隠し通してきた……いや、隠し通さなきゃいけなかった世界の現状だ」
/220ページ

最初のコメントを投稿しよう!

189人が本棚に入れています
本棚に追加