VECTOR CROSS

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「え……?」 バクの言葉にイーサは眼を大きく見開き、ア然とする。 「それだけじゃない。ここ数年、常にリィレイスを含む連合側は政府に侵食され続けてる。 それらの事実を隠す理由……わかるよな?」 「国民を不安にさせない為……ですか?」 「違う、国民の士気を下げさせない為だ。 いずれ政府に侵食され尽くせば貴族、王族は地位を撤廃され下手すりゃ打ち首。 国民だって奴隷扱いかもしれない。 今更降伏したところでそれは変わらない。 結局、今のこの国にはどこにも逃げ場なんてないんだよ」 バクはイーサの手から指輪を取り上げ、左手の中指へとはめる。 その瞳の奥はまるで猛禽類のような猟奇的な鋭い光に満ちていた。 「オレの目的はそんな世界を根底から覆す破壊者となること……。 創造するんだよ、このオレが。今は見えないその先のベクトルを……」
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