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そんなイーサに一人の少年がおどおどと近づいていく。
イーサは少年の気配に気付き、顔を上げる。
「うわッ!」
華奢な体格をしたその少年はまるで猛獣にでも睨まれたかのように体をふるわせる。
(この人……たしか同じ一年生のレジル……君?)
しかし、そんな接され方には慣れた様子でイーサは嫌な顔一つせず、平然としている。
少年が何故こんな奇異な眼で自分を見つめるのか大方、察しがついていたからだ。
「えっと、喋るのは初めてでしたよね。
その……なんでしょう?」
少年は怯えるようにたじろぎながらも一歩一歩慎重にイーサに近づいていく。
「こ、これ……!」
少年はイーサに折り畳まれた小さな紙切れを渡すと逃げるように足早に去っていく。
「…………紙?」
イーサは不審に思いながらも紙切れを開く。
そこには「第3会議室にて待つ、バク・エンストライズ」とだけ
書きなぐったという表現が相応しい程の乱雑な字で書かれていた。
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