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イーサはすぐに立ち上がり、四階にある第3会議室に向かい駆けていく。
その表情はどこか晴れやかだ。
バク・エンストライズ。
イーサはその名前を知っていた。
この学園の3年生であり、リィレイスNo.1の頭脳を持つと称される秀才。故に誰もが知る有名人……。
それだけでない、かつてリィレイス北部にあった政府との戦争で孤児となった子供達を収容する施設、リィレイス連合立孤児院ナルクに二人は居た。
当時、起こった歴史上最大規模の政府軍による大量虐殺。
そのせいもあってか当時の施設内の孤児は400人を越えていた。
直接話したことはなかったがイーサは当時から頭一つ浮き出ていた存在のバクに憧れていた。
そして、今でもそれは変わらない。
問題は何故、今になって彼が面識もない自分と接触しようとしているのかだ。
そんな一抹の不安とほのかな期待を胸に抱き、
イーサは第3会議室と書かれてたプレートの貼られた真新しいドアをノックする。
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