234人が本棚に入れています
本棚に追加
荷物を抱えてフランスの古城の玄関ホールに立つワンピース姿の少女。
やがて、老人が階段を降りて来た。
そう。彼はワンピースの少女の祖父なのである。
「お祖父様、今年もお招き頂きありがとうございます。」
にっこり微笑んでそう言うワンピースの少女は、女子高生で17歳の青柳菫(アオヤギ スミレ)である。
「遠いところよく来たね菫。
菫が来てくれてとても嬉しいよ。百合子さんも喜んでおるはずだ。」
そう言うのは菫の祖父、青柳祥一朗(アオヤギ ショウイチロウ)である。
「お祖父様、お祖母様のお墓もお仏壇も日本にあるのに。
お祖母様とお祖父様は魂で繋がっているのですものね。」
うふふと微笑む菫。
「もちろん!私と百合子さんの魂は永遠に共にあるのだよ。
それにしても大きくなったな。」
孫娘の成長に目を細める祥一朗である。
「お祖父様、大きくなった。ではなくて美しくなった。のほうが年頃の女の子としては嬉しいのですけど。」
「それもそうだ。」
ワハハハッと豪快に笑う祥一朗の姿に菫も嬉しくなる。
「長旅だったから疲れただろう?
さぁ、部屋に荷物を置いてきなさい。
私は書斎にいるから。」
「はい。お祖父様。」
最初のコメントを投稿しよう!