祖父の古城にて

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荷物を抱えてフランスの古城の玄関ホールに立つワンピース姿の少女。 やがて、老人が階段を降りて来た。 そう。彼はワンピースの少女の祖父なのである。 「お祖父様、今年もお招き頂きありがとうございます。」 にっこり微笑んでそう言うワンピースの少女は、女子高生で17歳の青柳菫(アオヤギ スミレ)である。 「遠いところよく来たね菫。 菫が来てくれてとても嬉しいよ。百合子さんも喜んでおるはずだ。」 そう言うのは菫の祖父、青柳祥一朗(アオヤギ ショウイチロウ)である。 「お祖父様、お祖母様のお墓もお仏壇も日本にあるのに。 お祖母様とお祖父様は魂で繋がっているのですものね。」 うふふと微笑む菫。 「もちろん!私と百合子さんの魂は永遠に共にあるのだよ。 それにしても大きくなったな。」 孫娘の成長に目を細める祥一朗である。 「お祖父様、大きくなった。ではなくて美しくなった。のほうが年頃の女の子としては嬉しいのですけど。」 「それもそうだ。」 ワハハハッと豪快に笑う祥一朗の姿に菫も嬉しくなる。 「長旅だったから疲れただろう? さぁ、部屋に荷物を置いてきなさい。 私は書斎にいるから。」 「はい。お祖父様。」
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