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「散歩にでも行こうかな。
と、その前に着替えよう。」
と、クローゼット。ではなく、百合子様の衣裳部屋と名付けられた広い部屋へ向かう菫。
祖母の百合子は、料理研究とともに、服飾研究にも熱心で、特に18~19世紀の西洋な貴族女性のドレス収集に凝っており、本物は展示・鑑賞用に。レプリカを作っては、自分の娘や孫に着せて楽しむといった趣味の持ち主でもあった。
そのドレスのレプリカコレクションが集められて保管されているのが、この百合子様の衣裳部屋。なのである。
何百着もあるドレスは、どれも素晴らしい出来で、それがきっかけで菫は服飾研究家になることを夢に日々勉強しているのである。
百合子様の衣裳部屋に到着すると、早速ドレスを選び始める菫。
「お久しぶりね。素敵なドレス達。」
と声をかける菫。
ドレスは埃を被らないように、トルソーに着せられて、一着一着、白い布で覆われている。
それを愛おしそうに見つめて微笑む菫は、端から見れば怪しい人に違いない。
だけど許してあげてほしい。
それは彼女のドレスへの愛故の言動なのだから。
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