祖父の古城にて

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コンコンッ。 書斎の古めかしいドアをノックする菫。 「はい。」 中からは祥一朗の返事が聞こえる。 「お祖父様、菫です。」 にこやかに答える菫。 「入りなさい。」 こちらもにこやかに菫を書斎に招き入れる。 「失礼します。」 ギィィと言う音をたてて古めかしいドアを開く。 「ほう。今日はペパーミントグリーンのドレスか。 良く似合っているよ。」 美しい孫娘の姿に嬉しそうな祥一朗。 「ありがとうございますお祖父様。」 にっこり答える菫。 「さ、座りなさい。」 自分の向かいの席を進める祥一朗。 「はい。」 と、椅子に座る菫。 「菫、もう何歳になったのかね?」 「17です。」 「そうか。なるほど大きくなる訳だ。」 「そうですね。」 「そうだ。菫にこれをあげよう。」 と言って立ち上がり、本棚から本を数冊取り出し、その奥の小さな隠し扉から箱を取り出す祥一朗。 「それは何ですか?」 興味津々の菫。
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