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『……名前』
飛び始めてから、彼女は思い出したように行った。
『え?』
『あるんでしょ? 名前。
聞いてなかったわね。
私はアカネ。
この機体は「ファントム」。
君は?』
『風下サイト』
『え……』
なにやら驚いた気配。
『どうかした?』
『上の名前があるんだ。凄いね。貴族?』
『……いや、僕様の世界ではコレが普通だよ』
『あ、そうなの。よろしくね、サイトくん』
『よろしく、アカネ』
『フリーザー』
『え?』
気がつくと、再び視界にモニターが現れて、銀髪の女の子が映っていた。
『フリーザー……それが……私の名前……』
『あ、うん。よろしくね、フリーザー』
あまり人の名前としてフリーザーは正しくない気がしたが、この世界はありふれた名前なのかもしれないので、余計なことは言わないようにした。
しかし、これはきっとありふれたことでは無いと思うので、僕様は尋ねた。
『さっきアカネはフリーザーを殺してたみたいだけど……』
『ああ、あれね。いきなりで驚いたと思うだろうけど、あれは……
『目標地点に大きな魔力の使用を確認しました。急行して下さい』
突然フリーザーが、淡々と早口に告げた。
『ごめんね。ちょっと急がないとダメみたい。
また後で説明するから……!!』
急にアカネの機体「ファントム」の速度が上がる。
『ちょっと、速いよッ!!』
僕様はそれを、懸命に追った。
※画像はファントム
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