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『これは……ッ!!』
着いた場所は、酷い有り様だった。
そこは森の中にあるあまり舗装されていない道路だった。
荷物を運ぶための車のようなものがあちこちに散乱し、火の手を上げている。
そして、下半身を失った人々が20人ほどうち捨てられていた。
その大半は死んでおり、もがき苦しんだ跡がある。
残りわずかな生きている人も、死を迎えるのは明らかだった。
そこに、僕様のイグドラシルとアカネのファントムは着陸した。
『どうしたの!? これは!! 何があったの!?』
アカネの言葉に答えたのは、たった1人だけだった。
「デ……デスティニーの……機魔……が……あ……ッ!!」
か細い声も、イグドラシルの性能で聞き取ることができた。
『デスティニー……?』
『世界3大国家の1つよ。この世界はデスティニーとキングダムとフリーダムに別れていて、ここはキングダムの辺境……デスティニーからは、かなり遠い』
『え、それがなんでこんなところに……!?』
『それを今考えているところよ……!!』
アカネも焦っているのが声越しに伝わってきた。
僕様は、目の前で苦しみながら死んでいく人にショックを受けて、あまり考えることができていない。
『気をつけて下さい!!
まだ魔力反応がそこに留まっています……!!』
フリーザーの声に、僕様は我に返った。
しかしそれは一瞬遅かった。
我に返ると同時に、僕様の体を、いや、イグドラシルの体を猛烈な衝撃が駆け抜けた。
『がああああッ!!』
『サイトくん!?
魔力ダメージ10000オーバー……!?
まずい、逃げて!!』
魔力残量が15000を切っている。
あと2発今のを貰えば死ぬということだ。
ジェットエンジンを使って、僕様は空中に逃げた。
そして、イグドラシルを追うようにソイツは姿を表した。
紫色の機体だった。
人型ではあるが、明らかに無駄な突起が多く、装甲のすき間から銀色の光が漏れている。
『シルバータイプか……ッ!! まずい!!
初戦の相手にしては重すぎるわ……!!』
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