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紫色の機魔が持っている大きな銃は、その砲身が溶けてドロドロになっている。
『リ……リミットブレイクスルー……!!』
『なにソレ……!?』
『一撃で使えなくなる程に出力の高い魔力砲よ……普通の機体なら木端微塵だったわね』
僕様の背中に寒気が走った。
確かに、イグドラシルの魔力が10000以上減っており、実際、相手の魔力は3642、アカネの魔力は3985だ。
『あなた、どういうつもり!?
辺境とは言え、ここはキングダムのド真ん中よ!!
こんなことをして、許されるとでも思っているの!?』
『……』
アカネが警告するも、敵は無言。
そして突然、溶けたリミットブレイクスルーをイグドラシルに向かって投げつけてきた。
溶けた銃の使い道などその程度。
その行動を予測していた僕様は、それを片手で振り払い、背中の剣を抜き放った。
イグドラシルの、もとい僕様の魔力が剣へと流れ込み、それが刀身へと変化していく。
巨大な光の剣となったそれを、僕様は目の前の機魔に叩き付けた。
しかし、その一撃は懐に潜り込まれるようにして回避される。
それと同時に腹部に衝撃。
機体が横に飛ぶのがわかった。
敵の機魔はいつの間にかバズーカを持っている。
あれで、撃たれたのか……!!こちらの魔力が10000程度まで削られている。
『魔力活性値7200……当たれば一発ね』
アカネの言葉に見れば、剣の魔力は7210の数値を示している。
『けど……当たらなければ倒せない』
紫色の機魔は、再び僕様に距離を詰めてくる。
『紫色のシルバータイプ……そしてあの武器……まずい!! 逃げて!! サイトくん!!
彼女は君の手に負える相手じゃない!!
それはショートレンジ・バズの使い手、罰樹の乗る機魔……「ブレイズ」よ!!』
『……わかった!!』
アカネがそう言うなら相手にしない方が賢明なのだろう。
僕様は急いでブレイズから距離を取った。
『私が相手よ……』
僕様とブレイズの間に、ファントムが割って入った。
※画像はブレイズ
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