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睨み合ったの数瞬。
いきなりファントムの姿が掻き消えた。
そして、次の瞬間にはブレイズの後ろに現れて、知らないうちに短剣を振りかざしている。
魔力活性値は4000。
丁度、相手を屠るにふさわしい値だ。
しかし相手は始めからそれを知っていたかのように、後ろにショートレンジ・バズを構えていて、それを撃ち放った。
そこから飛び出した銀色の光球がこの世に存在できたのは一瞬で、それはファントムに炸裂し、相手を大きく吹き飛ばした。
『アカネ!!』
『大丈夫よ……!!』
本人はそう言うが、残りの魔力は1000ちょっとしか残っていない。
『さすがショートレンジ・バズを使っているだけあって、先読みに長けているわね。
相性が悪いわ』
『どうするのさ』
『逃げよう』
『……OK。
でもその前に、僕様の魔力はまだ10000も残っているんだから、もう少しやらせてよ』
『あれ? 意外と好戦的?』
『やれる時に経験値は稼いでおきたいんだよ』
『……じゃ、やってみれば。
危なくなったらテレポートさせるわよ』
『了解』
そして俺は、ブレイズに向き直った。
ブレイズ自体はそこまで好戦的な態度ではなく、「やるならやるよ」とでも言いたそうにこちらに向いて隙を見せないようにしている。
僕様はイグドラシルの足に魔力を籠めて地面を蹴った。
そして、剣を振り上げて、そのまま……斬らない。
一気にブレイズの横を駆け抜ける。
真正面からの攻撃が通用する相手とも思えないからだ。
無論、それは読まれていて、ブレイズはピクリとも動かない。
そこで僕様は、更に地面を蹴って跳躍し、太陽を背にする。
これで、ブレイズからこちらの姿は逆光で見えないはずだ。
そしてそのままジェットエンジンでブレイズに特攻する。
だがそれすらも読んでいたブレイズは、見えないにも関わらず、イグドラシルに向かってショートレンジ・バズを撃った。
それは的確にイグドラシルの中心を捉え、魔力ダメージを与えながら機体を吹き飛ばす。
そして、イグドラシルの機体が背中を地面に打ちつけると同時に、
ブレイズの首が落ちた。
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