プロローグ

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「金を出せ」 1人の少年が、言った。 手にしたトカレフ(入手の比較的容易な拳銃)を銀行員に向けて、金を入れるべきバッグを出して。 「え……?」 あまりの唐突なタイミングに、銀行員は思考を停滞(フリーズ)させた。 コンピュータが、膨大な情報を送り込まれて動けない状態に近しい。 「早くしろ」 ダンッ!! 銃声がこだました。 唐突にトカレフが火を噴き、客の1人を頭から撃ち抜いた。 「え」 ダンッ、パンッ、パンッ!! 更に、フロアのあちこちから音が上がり、多くの人が倒れた。 少年以外にもトカレフを持った者が何人も居た。 自分のした行為に青ざめる者、喜悦の表情を浮かべる者、少年のように無感動な者。 それぞれがそれぞれの表情をしている。 それからワンテンポ置いて 「キャアアアアアアアアア!!」 銀行員は悲鳴を上げた。 パンッ!! その銀行員の頭を、少年のトカレフが撃ち抜いた。 「今この場で生きているのは、これ以外の銀行員だけだ。客は全員殺した。 さあ、金を出せ」 「は……はい……ッ!!」 冷静な判断力を失った別の銀行員が、慌てて金を詰める。 「……ふん」 パンッ!! その銀行員も頭を撃ち抜かれて絶命した。 「偽札ではなく、本物を出せ」 「なにを言っているんだ!! それはちゃんと本物だぞ!!」 「そうか。そうだろうな。カマを掛けただけだ」 「カマ……って……!!」 「では貰っていく」 少年はカバンを担いで表に出た。 その後に続いて、トカレフを持っている者が数人続いた。 しかしながら、何人かはその場に倒れたり、腰を抜かしたり パンッ!! 自害したりした。 そして、表の通行人が逃げ惑うのに見向きもせず、少年と彼に続く者達は向かいのコンビニへと入った。 そして、何の躊躇いもなく パンッ、ダンッ、パンッ!! コンビニ内の客と店員を全て撃ち殺した。 それから、バッグをレジに持って行き、中身を出して、その全てを募金箱に詰めた。 それから、カウンターの前で正座をした。 少年に続いたのは2名だった。 それ以外の者は、騒いだり、狂乱したり、青ざめたり、平静ではなくなっていた。 ややあって、そこに警察が駆け付けた。
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