誕生!! アカネ四天王

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「リカバリー……」 なんかアカネが緑に発光した。 多分回復魔法だ。 自分で鼻血出して自分で回復してたら世話ないよ……。 「失礼したわ」 「ほんとにね」 「そっかー。サイトくんはこういうのは好みじゃない……と」 「覚えておいて貰えると助かるよ」 「了解。 それで、好みのタイプは? シチュエーションは?」 「え?」 「私とフリーザーで良かったら、好きにしてくれていいわよ」 「え、ホント……じゃなくて、どうしてそういう話になるのさ?」 「あ、サイトくんにはちょっと大人過ぎる話だったかしら」 「いや、だから」 「それじゃあ、好きな食べ物は? 少しぐらい高くても、大抵の物なら用意できるわよ」 「人の話を聞いてよ!」 「……ごめん」 ちょっと大きな声を出してしまった。 「いや……僕様の方こそ……ごめん。 でもなんで、僕様に色々と与えようとするのさ?」 「……だって、離れられたら、困るし」 アカネは言い訳をするようなバツの悪さを見せながら言った。 「異世界から古代機魔のパイロットを召喚してくること自体は、そう難しいことじゃないの」 「はぁ……」 「難しいのは、そのパイロットを自軍に持ち続けること。 大抵のパイロットは、召喚した人を恨んで敵になってしまうから……」 「……どうしてさ?」 「いきなり家族や友人と離ればなれにされ、殺し合いの最中に放り込まれる。 その元凶に尽くせと言われて、そう簡単にうなずくかしら」 「……」 「だから、召喚された人はかなり自由を束縛されるのよ。 逆らったら殺されるような仕掛けや魔法を掛けられたり、精神を破壊したり、脳の一部を切除したりしてね」 僕様は、一度死んでも構わないと思って世界を否定した身だが、その話に背筋が寒くなった。 「でも、私はそんなのでサイトくんの性能を100%引き出せるとは思えないの。 だから……」 「僕様の待遇を良くしている、と」 「そうなるわね」 ようやく合点が入った。 「……けど、それは僕様に気付かれないようにしなきゃいけないんじゃない?」 「サイトくんは賢いみたいだから、すぐに気付かれると思ったの。 だから、せめて誠実に……」 「わかった。 それじゃあアカネの知っていること、やっていること、僕様に求めることを教えて」 一拍置いてから。 「それこそ、誠実にね」 今の僕様に必要なのは、良い待遇じゃない。 情報だ。
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