36人が本棚に入れています
本棚に追加
/45ページ
「この世界は、大きく分けて3つの勢力に分かれているわ。
キングダム、デスティニー、フリーダムの3つに」
「……やっとそれらしい話になってきた」
「え?」
「あ、いや。続けてよ」
「キングダムは、絶対王制の国家。
あ、絶対王制ってわかる?」
「独裁国家ってこと?」
「そうそれ。
独裁国家と言えば聞こえが悪いかもしれないけど、国王が優秀で、国民に不満もなく、素晴らしい国だと言われているし、私もそう思うわ」
「……王様が優秀な間は、ね」
「あら、本当に賢いのね。
そうよ、そしてそれを良しとしない人達の集まっている国が、デスティニー。
民主主義……ってわかる?」
「うん」
「そうよね、さすがに難しいわよね……ってわかるの?」
「まあ……そういう国家で育ったからね」
「あ、そうなんだ……でも、大変でしょ?
確かに安定した政治はできるかもしれないけど、政治自体の機動力がかなり落ちるじゃない?」
「……平和だったからね」
「……そう。
でも、その平和な国にどうやったらサイトくんみたいな子どもが産まれるのかしら」
「それは……」
世界の理が悪かったのさ。
とは言わなかった。
「不思議だよね」
「……そう……ね。
そして、あと1つのフリーダム。これが、一番危険」
アカネは少し深刻そうに言った。
「自由主義の国。
いや、国土を持たないから国じゃないのかしら。
とにかく、自由と快楽を求めることこそが彼らの正義。
キングダムやデスティニーの中にも拠点がいくつかあって、好き勝手をしているの。
政治体系は、実力主義よ」
「実力主義?」
「さすがにわからないかしら。
フリーダムの国民には序列がつけられていて、その序列に応じた投票権力が与えられる。
あとは、民主主義と同じよ。1人の票の重さが違うだけ。
序列のかなり上にいかないと1票も貰えないから、民主主義より機動力も高い」
「……なるほどね」
「そして、最後に1つ」
「3つじゃなかったの?」
「大きな勢力は、ね」
「……ああ、なるほど」
「ホワイト。
私達の、勢力よ」
最初のコメントを投稿しよう!