36人が本棚に入れています
本棚に追加
キングダム城内部。
会合の間。
前王が早死にしたキングダムは、今の王位をその娘に置いている。
齢16歳の女王の名前は、雅(みやび)。
独裁国家と言えども、少女1人に国を背負わせるような愚行を、前王はしなかった。
前王は雅姫の能力を認めていたが、しかしそれでも、部下の反感などを考え、雅姫が二十歳になるまで会合によって政治を行うよう、死ぬ間際に遺した。
こうして、会合には、女王雅とその重臣、それに加えて1人のホワイトを参加させていた。
ホワイトの名前はマリア。
殆どキングダムの直属となっている。
「……さて、今回の議題ですが」
女王雅が口を開いた。
「国内で中規模の魔力反応があったので、斥候を送ったところ、森林の中で1個商隊が壊滅させられていました」
ざわ……と、会合の場に動揺が走る。
「持ち物の検分をしたところ、恐らくデスティニーの密輸商だと判明しました」
「馬鹿な……」
「なぜ……」
「落ち着いて下さい。それは議題ではないのです。この事はデスティニーに報告するとして、問題は、その現場への道中にあったのです」
「あら、どういうことかしら?」
退屈そうに話を聞いていたマリアが、初めて興味を示した。
「現場に向かう途中、フリーダムの大規模な賭博を見つけたのです」
会合に緊張が走った。
「フリーダムだと!?」
「雅様!! 即刻討伐部隊を送りましょう!!」
「フリーダムめ!! 生かしておけぬ!!」
「ええ、はい。皆さんの興奮するお気持ちもわかります。
……ですが!!」
女王雅が急に大きな声を出したので、会合の場は再び静寂になった。
「今は冷静な判断を私は求めています。
各自、部屋に戻って冷静に思考して下さい。1時間後、再び会合を開きます。
一時解散」
最初のコメントを投稿しよう!