戦乱の火種

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エレベーターは随分と地下まで降りた。 降りた先には地下通路があり、待っていてくれたファイヤーとそこをまっすぐに2kmほど走った。 この時、僕様とファイヤーは途中に置いてある大きな布で、イグドラシルとスサノオの姿を隠蔽した。 素性の明かせない人のためのものらしいが、別に後ろ暗くないファイヤーは、純粋に自分の存在を騒がれるのが嫌らしい。 まだ着かないのかと思った矢先に、ようやくコロシアムに到着する。 そこは、地下にこんな空間があっても大丈夫なのかと疑問に思わざるを得ない大きさの空間だった。 東京ドームなんかよりずっと大きいかもしれない。 円錐を横に切って逆さまにしたような形の空間は、底面が闘技場、斜面が客席になっている。 客席は、バリヤーらしきベールに守られた人用の客席と、機魔に乗って観戦する立ち見席がある。 安全性を考えているのか、前者が外側、後者が内側にある。 僕様とファイヤーは後者の席に着いた。 しかも、最前列。 「一番良い席じゃない」 「ある意味……な。 ただ、この席は結構安いんだぜ?」 「……え?」 「普通の見世物なら、ここが一番高いだろーな。 でも、ここは普通の席じゃねー。SS席はもうちょい後ろだ」 「……なんで?」 「一応客席を狙って攻撃することは失格っつーことになってるが、それでもまあ、流れ弾やらなんやらが飛んでくる訳よ」 「……」 「ここは『弾除け席』だ。 余裕で死者が出る」 「……さすがフリーダム……」 しばらく座っていると、シンプルだがわかりやすい装飾をした機魔が、コロシアムの中央に降り立った。 『ようこそ皆さん!!』 コロシアムの4隅に設置されたスピーカーから、よく通る声が響いた。 『本日のコロシアムには、特別ゲストをお招きしております!』 客席がどよめく。 ファイヤーは無言だ。 『それでは出てきて頂きましょう!! ホワイトのファイヤーさんです!!』 お前かい。 「ハァッ!!」 布を脱ぎ捨てながら、ファイヤーが舞台中央に躍り出た。 とんでもない歓声が上がり、僕様はイグドラシルの集音レベルを1つ落とした。
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