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『えー、一回戦はアツキ選手の対戦相手のミユキ選手がファイヤーに殺されたのでアツキ選手の不戦勝になりました。
つかファイヤーさん自重して下さい』
観客からブーイングと落胆の声が上がる。
「なに選手殺してんのさ」
「一応魔法で蘇生には成功したみてーなんだけどよ……つーか蘇生できる程度にしといてやったんだが、やっぱ機体を適当に壊したのがマズかったかな。
もうちょい直し易い感じに斬るべきだったか……あーもう、選手なら大人しくしとくか目印付けとけよなー」
一応手加減してるんだ……やっぱり凄い人なんだ、この人。
『同様の理由で4回戦と7回戦もありません』
選手なんだったら行かなきゃいいのに。
『2回戦は、サイト選手とウェイざわ選手です!!』
どうやら僕様の出番が来たようだ。
ていうか変な名前の対戦相手だなあ。
「ほら呼ばれたぞ、行ってこい」
「……わかったよ」
僕様はイグドラシルを動かして舞台に降りた。
対面から、対戦相手と思しき機魔が進み出る。
「……よう」
「……え?」
「……挨拶ぐらい返せよな」
「ああ、うん、ごめん。よろしくね」
「おう、よろしく」
少し低いが、僕様と同じくらいの若い少年の声だ。機魔はブルーの機体をしている。
特長としては、僕様の機体より更に大きなジェットエンジンが背中に付いているぐらいで、これと言った武装は見受けられない。
そのくせ……魔力が3102。
ホワイト一歩手前だ。
『それでは戦って頂きましょう。
両者、準備はよろしいでしょうか!?』
「ちょっと待って」
僕様は魔力変換効率を元に戻し、本来の魔力を解放した。
26550。
その魔力の大きさに会場が震撼する。
「準備……完了だよ」
『おお!? 26000!! 26000です!!
私はこんな魔力を見たことがありません!!
一体これはどういうことでしょうか!?』
「……へえ」
「びっくりした?」
「まあ……な」
「降参する?」
「まさか。
おい司会者。俺も準備完了だ。さっさとしやがれ」
さすがフリーダム。
これぐらいでは動揺しないのか。
『あ、はいすみません!!
それでは参りましょう!!
事実上1回戦の2回戦、レディ……ファイッ!!』
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