戦乱の火種

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「……っと。やるじゃねえか」 「そっちこそ」 あれだけのスピードで地面に叩き付けられたにも関わらず、ウェイざわは平然と立ち上がった。 僕様も態勢を立て直しながら地面に降り立つ。 その時だった。 ドオオオン!! 大きな爆発音が、コロシアム内部に響いた。 「なに!?」 爆発音のした方角を見ると、白い機魔が何10体も入ってきていた。 それぞれが2000以上の魔力を持っている。 「なッ……ヴァルハラナイツだと……!?」 ウェイざわが愕然とした声で言った。 「なにソレ!?」 「キングダムの精鋭部隊だ……!!」 「キングダム……どうしてここに!?」 「知るか!! 俺は逃げるぞ!!」 ウェイざわは魔力剣を仕舞い、ジェットエンジンを吹かして反対の出入口から飛び去った。 「……行っちゃった」 その後を追って、何機かの機魔もコロシアムから逃げるように退場していく。 「てめーら……どうしてここがわかった!?」 ファイヤーがスサノオを抜刀させてヴァルハラナイツに近寄る。 「……おい、なんとか言えよ!!」 ファイヤーの声を無視して、ヴァルハラナイツは一斉に銃を抜いて撃った。 あれは……リミットブレイクスルー!? その狙いはファイヤーでも機魔でもなく、人用の観客席だった。 閃光、爆発。 リミットブレイクスルーの魔力活性値は10000。 魔力5000のバリヤーで防げる代物ではない。 大勢の人間が跡形も無く消し飛んだ。 あれでは蘇生することもできまい。 「……あ」 一瞬だけ、ファイヤーは呆けたような声を出した。 それからすぐにこう言った。 「……殺す!!」 あとはもう、ひたすらに戦いだった。 ファイヤーが牙龍丸を振り回し、フリーダムの機魔達が怒り狂い、ヴァルハラナイツ達が機械的にそれらと戦いを繰り広げる。 僕様はもうそこから動くことができなかった。 気付いた時にはヴァルハラナイツが全滅していて、フリーダムの機魔が半滅していて、スサノオが機魔の屍の上に呆然と立っていた。 僕様は最初の場所から動けず、流れ弾で8500まで減った魔力を無力感に苛まれながら眺めていた。
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