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「なるほどね」
思わずそう呟いて、僕様は本を閉じた。
僕様の居た世界からは理を否定すると同時に世界から弾き出されたが、この世界ではその限りではないらしい。
あの後、僕様とファイヤーはアカネの元に一旦帰って来ていた。
ファイヤーは酷く苛ついていて、帰り道中ずっとなにかをブツブツとつぶやいていた。
僕様はそんなファイヤーに何の言葉も掛けることができなかった。
到着するなりアカネは沈痛な面持ちで僕様とファイヤーを出迎え、そのまま呼び掛けがあるまで部屋で待機しておくように言い渡された。
そして、言われるままに僕様は部屋で待機し、手持ちぶさたたになったので本棚の本を読んでいたのだ。
不意に、襖がノックされ、フリーザーが入ってきた。
「……大丈夫……?」
「大丈夫だよ」
「……本当に?」
「僕様もそれなりに酷い事をしてきた身だからさ。
どうってこと無いよ」
「……そう」
「多少胸糞悪いけど」
「……」
声が尖ってしまったのか、フリーザーが怯えて縮こまる。
「あ、ごめん……」
「……サイトのくせに……」
「……」
どうやら次は僕様が怯える番のようだ。
「……生意気なサイトに……おしおき」
以下略(泣)
フリーザーに以下略された僕様は、もうお婿に行けない気分になりながら会議室に案内された。
和風が標準のアジトに珍しく、金属製のドアだ。
それだけ厳かな場所なのだろう。
そして扉を開けると、アカネとファイヤーとサンダーが囲炉裏を囲んでいた。
「なんでだよ!!」
「おお、まっすぐなツッコミだ」
「昭和超えてるよ!!」
「昭和?」
「なんでもないよ!!」
「まあ、いいから座って座って」
「……ったくもう」
僕様はアカネとサンダーの間に座った。
「その昔、ファイヤーも同じぐらいの勢いでツッコミを入れてくれたわ」
「……そんなことはどうでもいい」
「「……」」
ファイヤーのドスの効いた言葉に、場の空気が締まった。
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